UM English Lab. は洋楽を題材にした副教材を開発・提供しています。
その教材を用いて実際に小学校で授業を行いました。舞台は大阪の鳥飼北小学校。小学3年生を対象に行われた授業のテーマは、「レゲエ」と「ジャマイカ」です。
小学生に、レゲエとジャマイカ?決して身近ではないテーマだからこそ、授業の入り口には「足が速くなるダンス」という、小学生なら誰もが気になるトピックを立てました。
そこからジャマイカの音楽、地理、歴史、文化、そしてボブ・マーリーという人物の生涯まで、一緒に旅をするように学んでいきました。旅をするような授業の模様をレポート形式でお届けします。
「知ってること」を起点に、知らない世界へ触れてみる

今回の授業の講師は、ユニバーサル ミュージックの寺嶋。このUM English Labを立ち上げた人であり、大阪出身でもあります。
授業の最初に寺嶋さんがまず語ったのは、子どもたちが知っているトピック。
「ユニバーサル ミュージックは、Mrs. GREEN APPLEが所属する会社」
「大阪万博のジャマイカ館行った人〜!」
「足、速くなりたい?」
レゲエやジャマイカといったトピックをいきなり取り上げても子どもたちには届かない。でも知っていることを入り口にすれば、自分ごとになる。
そんな共通点を探すプロセスで、教室はわっと盛り上がります。
そこから「ダンスに使われているレゲエってなに?」、「レゲエが生まれたジャマイカってどんな国?」、「世界最速の男・ウサイン・ボルトに並ぶ英雄って?」と広げていくことで、子どもたちが自然とついてきてくれます。
「なぜ?」を頭だけではなく心と体で感じるための音楽

ジャマイカの二大英雄とは、ウサイン・ボルトとボブ・マーリー。大阪万博のジャマイカパビリオンではこの二人が取り上げられていました。
大阪在住の小学生にとって万博は身近なトピック。そしてウサイン・ボルトの知名度も高い。
そのボルトと並んでジャマイカを代表する人物、ボブ・マーリーのことを知っている人は、教室にはいません。
彼が「レゲエの神様」と呼ばれていること。「One Love」という曲を作ったこと。そして彼の波乱万丈の生涯が紹介されていきます。
ボブ・マーリーの半生には、重い内容も含まれますが、誤魔化さずに、まっすぐに伝えることを意識しました。
彼が白人と黒人のミックスとして生まれ、当時のジャマイカで迫害されていたこと。けれどそれを乗り越えて音楽の力で人気を博していったこと。国内の抗争で銃撃されたこと。これらをあからさまに暗い話として伝えるのではなく、「その時代、その国ではそういう出来事が珍しくなかった」という文脈を大切にしています。
子どもたちに「今はどう?」と問いかけると、「みんな違って当たり前じゃない?」という答えが返ってきます。そこから「One Love」という平和の曲が生まれた背景の話に繋がっていきます。
銃で撃たれても挫けず、無料コンサートを開いて何十万人もの前で対立する派閥のリーダーたちをステージに上げて握手させた。「One Love」はその場で歌われた曲です。
歴史、地理、人権、音楽。教科を横断して、直感的に理解しながら学んでいく。こういった学びの授業は、「もっと知りたい」と小学生が思うきっかけになると感じました。
まずはただ音楽に乗ってみる

今回、英語教育という要素はあまり盛り込まず、代わりに「One Love」を実際に声に出して歌うというプロセスを取り入れました。
歌詞の意味に触れつつ、ただノリながら英語の音を聴いて、なんとなく声に出す。それだけで十分です。英語への親しみは、「勉強した」の手前にある「気づいたら知っていた」という体験の積み重ね。英語を学ぶ環境が整ってきている今だからこそ、音楽はその入り口として、相互にフィードバックできるように機能すると考えています。英語ができなくても、、小さな接点が積み重なって、英語に対する距離感が縮まっていく。その最初のきっかけとして、音楽はこれ以上ないツールだと感じています。
実際に、足が速くなるダンスを踊ってみよう

授業の後半では、体育館に移動して、足が速くなるダンスを実際に踊ってみました。
レゲエ調の音楽に合わせて、日本ストリートダンス協会の監修によって制作された、足が速くなるダンスを踊りました。
速く走れるようになるためには、足の回転数を上げる、歩幅を上げる、安定した姿勢を保持することが重要で、単純な動作の繰り返しや言葉での指導が多くなりがちなこれらのトレーニングを、より楽しく自然に行えるように、大学とNSSAの共同研究により開発されたのが「足が速くなるダンス」。繰り返すことで、50m走のタイムが平均して0.6秒縮まるのだとか。
3年1組の担任である三反田(さんたんだ)先生は、「クイズ形式にはノリノリでしたが、差別や文化については真剣に受け止めていたように感じます。楽しい中にも学びもあって、自然に入り込めていたのでは。体を動かすのは普段からみんな大好きなので、とにかく楽しそうに取り組んでいましたね。」と語ります。
実際に授業を受けた小学生のみなさんにもコメントを書いていただきました。



嬉しい感想もあれば、わからなさや難しさに触れることも大切な学習の一環。「こうした取り組みを継続し、定着させていくことこそが重要。」とは、鳥飼北小学校の竹谷校長先生の言葉です。
イベントとして一過性で終わるのではなく、継続して学ぶ仕組みを作ること。
出張授業ならではの楽しさ、盛り上がりを一つのきっかけに、ここで学んだことを誰でも再現可能な授業の教材として広めていくことが次のステップです。
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