音楽とファッションの関係は切っても切れないもの。心に刺さるグッドミュージックは月日が経っても色褪せないのと同じように、それを奏でるアーティストのスタイリングも時代を象徴し、ひとびとの記憶に残ります。
今回フィーチャーするのは、ビリー・アイリッシュ、サブリナ・カーペンター、オリヴィア・ロドリゴの3名。ユニバーサル ミュージックに所属するミューズたちの着こなしを紐解きながら、それらのスタイルを構築するキーアイテムもピックアップ。彼女たちのおしゃれの秘密に迫ります。
Artist 01:Billie Eilish
ルーズなシルエットと、ナードな小物で生み出す独自の世界観。

ポップミュージックの概念をアップデートし続ける、ビリー・アイリッシュ。その音楽性のみならず、ボーイッシュな彼女のファッションもまた、多くのアイデアを私たちにもたらします。とくに特徴的なのは、キャップを被ったストリートスタイル。ダボっとしたルーズなシルエットに、彼女らしいナードな小物使いを組み合わせ、独自の世界観を築き上げています。
Key Item:Short Pants

ルーズなシルエットを印象付ける立役者。
ビリー・アイリッシュのファッションで目を惹くのは、スポーツチームのゲームシャツやストリートなグラフィックがプリントされたトップス類。そして、それを支えるボトムスにも着目したいところ。彼女がよく穿いているのは、膝下丈でワイドなシルエットのアイテム。これが全体のシルエットをボリュームアップさせる立役者なのです。
中でも好んでいるのは“柄物”。とくに今期は迷彩柄が注目されているので、ぜひチェックを。海外セレブを筆頭に世界各地のファッショニスタたちもこぞって取り入れていて、目をつけておきたいアイテムのひとつになっています。
Key Item:Metal Frame Glasses

ナードな雰囲気を纏ってスタイリングのハズし役に。
そしてもうひとつフォーカスしたいのがアイウェアです。彼女のスタイルがいい感じに力が抜けて見えるのは、メタルフレームの四角いメガネをかけているから。ちょっとオタクっぽくて、ナードな雰囲気を醸し出し、スタイリングの上手なハズし役になっています。
こうしたテクニックを取り入れるなら、細身のフレームをチェックするのがおすすめ。太いと存在感が強くなりすぎて、過度に主張してしまうので注意が必要。あくまでもさりげなく、顔に馴染ませるのがベストです。そうすればビリーのようなストリートスタイルにも合うし、それとは真逆のエレガントな着こなしにもマッチするので一石二鳥です。
Artist 02:Sabrina Carpenter
セクシーな服もスタイリングでファッションへ昇華。

続いて紹介するのはサブリナ・カーペンターのスタイル。女性らしいフェミニンなアイテムを上手に着こなしながら、誰にも媚びない力強いスタイリングを披露する彼女。肌の露出が多いセクシーなアイテムも、デザイン性の高い服やシューズ、あるいはレザージャケットなどのハードな服と合わせることによって、しっかりとファッションとして成立させ、個性を表現しているのが特徴です。
Key Item:Lacy Tops & Dress

フェミニンなムードを小技で中和させるのがサブリナ流。
彼女のMVでも度々登場するランジェリー系のアイテム。こうした服をスタイリングの軸にしつつ、合わせるアイテムでフェミニンなムードを中和させるのがサブリナ流。羽織りのアイテムで男性的な要素をプラスしたり、サングラスやアクセサリーなどの小物使いでよそ行きなムードを演出してみたりなど、随所で小技を効かせながらキリッとスタイリングを引き締めています。
しかし、ランジェリー系の服をそのまま日本で取り入れるのはさすがにレベルが高め。それならば、レースがあしらわれたドレスならきっと手を伸ばしやすいはず。素材やカラーリングなどにもこだわりながら、自分に合うバランス感でチャレンジしてみるのがおすすめです。“ブドワール”と検索してみると、より上級な着こなしもヒットするのでぜひそちらもチェックを。
Key Item:Platform Heels

デザイン性の高いシューズで脱コンサバを意識。
サブリナ・カーペンターのスタイルを特徴づけるアイコニックなアイテムをもうひとつ挙げるとすれば、真っ先に思い浮かぶのがプラットフォームヒールです。レッドカーペットを歩くセレブリティの着こなしを見ていても、こうしたプラットフォーム系のアイテムの人気の高さを伺えます。
単なるヒールではなくて、つま先部分もしっかりと厚底になったプラットフォーム系のシューズは、デザイン性が高いからコンサバティブにならず、ファッションアイテムとしてスタイリングを足元から支えます。彼女のファッションを眺めていると、赤や薄いピンク色のシューズを履いていることが多いことに気づきます。スタイリングの差し色としても効果的だし、厚底でボリューミーなぶん、色使いで軽さを出したいところです。
Artist 03:Olivia Rodrigo
ポップ、ロック、フェミニンの要素を融合させるテクニック。

最後に登場するのはオリヴィア・ロドリゴ。クロップドトップスなどのY2Kを象徴するアイテムに、ガーリーなミニスカート、さらには90年代に流行ったオルタナティブ・ロックであるグランジなどを彷彿とさせる小物などをバランスよく取り入れたスタイルは、彼女の音楽性ともリンクしていて、多くのフォロワーを生み出すのも頷けます。ポップ、ロック、そしてフェミニンの要素を巧みに融合させながら、クールにまとめるテクニックに注目です。
Key Item:Mini Skirt

オリヴィアから見習いたい絶妙な丈感。
彼女が普段から愛好しているのがミニスカート。スパンコールがあしらわれたパーティ仕様のアイテムから、ミニ丈のドレスでちょっと大人っぽいスタイリングまで、実にさまざまなミニスカートを穿きこなしています。
世界中のファッションシーンを見渡してみると、こうしたミニスカートをリリースするブランドが増えているところにも時代の流れを感じます。中でも注目したいのは、バルーン状にシルエットが広がったアイテム。シンプルになりすぎず、かといって主張しすぎないバランスが魅力。トップスもボトムスもミニ丈ですっきりとさせながらフェミニンなムードを表現しつつ、足元はショートブーツなどでハードに合わせるのがオリビアに近づく秘訣。ブーツの高さも含めて、彼女の絶妙な丈感は積極的に見習いたいポイントです。
Key Item:Chunky Jewelry

ポイントはチェーンの長さと、チャームの選び方。
服のデザインはシンプルなものが多いオリヴィア。その組み合わせの妙が多くのファンを惹きつけるのは言わずもがなですが、スタイリングを印象付けているのがアクセサリーの使い方。とくに注目したいのはネックレスです。
チェーンは短めの長さで、首周りにすこしだけゆとりを持たせるのがオリヴィアのスタイル。それによってどこかロックな香りを纏いながら、一方でハート型やバラの形をしたチャームをセレクトして、ガーリーな遊び心も忘れていないところに彼女らしさを感じます。MVでは大きなチャームのついたネックレスをジャラジャラと重ね付けする姿も披露しているので、そちらもぜひご参考に。
Photography_Tomoharu Kotsuji
Styling_Yu Kotani
Text_Tsuji
Edit_Shunta Suzuki