「今月の洋楽」では、音楽をさまざまな角度から楽しみながら、その歌詞やメロディ、MV、衣装、そしてアーティストたちの背景に触れていきます。楽曲に込められたメッセージを丁寧に読み解くことで、英語の面白さや、世界の多様な価値観にも出会えるかもしれません。
今回取り上げるのは、TikTokをきっかけにバイラルヒット中のBlack Eyed Peasの「Rock That Body」。#後ろ姿ぴょんぴょんダンス が話題を呼び、総再生数は23億回を突破。今、世界中で注目されている一曲です。
ダンスをきっかけにこの曲に出会った人は、歌詞に込められたメッセージを知ることで、もっとこの曲を好きになるかもしれません。
次の「謎」を手がかりに、そのメッセージを一緒に紐解いていきましょう。
謎解き:揺れる「場所」で変わるもの?
Rock That Body(カラダを揺らせ)
音に乗ると、いつの間にかカラダが揺れている。
もし、その揺れがアタマやココロまで届いたら——そこにどんな変化が生まれる?
今回も、謎解き作家・常春さんがこの楽曲の世界観からインスピレーションを得て、特別な謎を制作してくれました。

ヒントは、歌詞の中でも繰り返される「rock your body(カラダを揺らせ)」というフレーズ。そして、揺れるのはカラダだけではないということ。設問をよく読んで、図と照らし合わせてみてください。
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謎解きの答え…
設問にあった問いかけ──「ココロを揺さぶると どんな気持ちになる?」
その答えとして導かれるのが、「エンジョイ」という気持ちです。
この謎を読み解くカギは、「カラダ=BODY」といった具合に、日本語を英語に置き換えること。逆三角形の中の英単語と、その上に配置されたカタカナを照らし合わせていくと、こんな関係が見えてきます。
「カラダ=BODY」の上には「トレンド」
TikTokで「Rock That Body」に合わせて踊る人たちが次々と登場し、カラダを揺らすダンスが、トレンドを生み出していった。
「アタマ=HEAD」の上には「エンジン」
カラダの動きがアタマにも伝わると、音楽やリズムに対する感性が刺激され、内なるエンジンがかかりはじめる。
「ココロ=HEART」の上には「エンジョイ」
揺れがカラダからアタマへ、そしてココロにまで届くとき、自然と湧き上がるのが「エンジョイ」というポジティブな感情。
今回の謎は、「Rock That Body」の揺れる体験の中で、カラダ → アタマ → ココロと揺れが連鎖し、最後に生まれる感情の変化を描いたものでした。
歌詞を読み解けば、「Rock That Body」をもっと好きになる
歌詞を読むとまず飛び込んでくるのが、何度も繰り返されるこのフレーズ。
I wanna rock right now
この rock は、「揺らす」「乗る」といった意味を持つスラング。「今すぐ乗りたい」「全身で音楽に没入したい」——そんなエネルギーが、ストレートに伝わってきます。
すべてのスタイルを肯定するリリック。
・She like electro, she love hip-hop
・She like the reggae, she feel punk rock
エレクトロもヒップホップも、レゲエもパンクも好き——「何が好きでもいい」「どんなノリでもいい」
さらにこのフレーズも印象的です。
・You could be big-boned long as you feel like you on
・Short, stacked, black, or white
・Long as you do what you like
体型や人種なんて関係ない。踊って、楽しめていればそれでいい——「自分らしく乗ることがかっこいい」
特定のスタイルや理想像に縛るのではなく、「どんな自分でもいい」と、多様性を肯定してくれるのです。
英語の歌詞が、感情のチューニングになる
英語の歌詞を読むことは、単なる語彙の習得や訳の確認にとどまりません。
そこには、感情を整えてくれるヒントが詰まっています。
Get a lil’ crazy, get a lil’ stupid
(ちょっとクレイジーに、ちょっとバカになって)
ここに描かれているのは、「完璧じゃなくていい」「ちょっとおかしくたっていい」——音楽が、自分らしさにOKを出してくれるフレーズです。
「Rock That Body」は、聴く人の「カラダ」「アタマ」「ココロ」をじわじわと揺らしながら、自分らしく踊ることの楽しさと自由さを教えてくれる一曲なのかもしれません。